北海道では約4割の地方議会で慎重審議を求める意見書があがったにもかかわらず、種苗法改定案は参院の農水委員会で可決。あきらめまいと食農連絡会がおこなった宣伝に、私も参加させてもらいました。
海外への流出を防ぐための改定といえば聞こえはいいですが、流出したのは農家が種を採るからだという理屈がおかしい。だから自家増殖を原則禁止にするという改定なのです。そうなれば、自家増殖していた農家は種を買わなければいけなくなるし、市場にゆだねられた種の独占と価格高騰も心配されます。実態は改悪です。
流出させないためなら海外での品種登録が必要なのに、農水省は「止めるということは難しい」と答弁して事実上のお手上げ状態。農家への責任転嫁かと、中身がわかった農家からは不満の声が出ています。今日の宣伝には千歳市や江別市の農家も参加し、北海道たねの会・久田徳二さんもマイクを握りました。久田さんから学んだという大学生も駆けつけ、スマホで撮影してくれる方など、多くの方が関心をもって宣伝行動に参加されました。
私も、政府が種への責任を放棄してきた経過に触れました。私が国会にいたとき、まず主要農作物種子法が「公的開発が民間開発を阻害している」との理由で廃止され、次に農業競争力強化支援法では海外資本の参入に道が開かれました。今回の種苗法改定で農家の種の権利を奪うことになれば、日本は種ビジネスをさらに開放することになります。
食の源である種は、人間の体をつくる源です。だから安心・安全で、安定的に供給される必要があり、国にはその責任があります。しかし、そのための法律が次々と廃止・改定されてきてしまいました。全国の食料自給率37%の国で、そんなことしてる場合なのでしょうか。食べるに困る学生・国民が増えているもと、食料の安定的供給こそ政治が急いで取り組むべきです。
「なぜ、こんな時に」というのは、北海道教育委員会も同じ。開会中の第4回定例道議会に「1年単位の変形労働時間制」を実施する条例案が提出したのです。コロナ対応に追われている教職員から意向も十分に聞かず、全国に先駆けて実施しようと狙っています。それよりも教員の増員と少人数学級を早く! この間の状況を高教組・道教組から話をうかがいました。
とにかくひどいのは、これまでの大臣答弁などをまったく無視しているということ。手続きは「まず各学校で検討の上」(萩生田文科相)なのに、まったく教職員に知らされていません。文科省の「導入の手引き」にも書かれています。そもそもコロナ対策で例年以上に忙しくなっているのが、現場の実態です。
夏休みなどに「まとめ取り」とする制度ですから、かえって平日の勤務時間が増加する心配があります。そこで「歯止めをきちんとつくっていきたい」(萩生田文科相)とした運用が求められているのに、道教委は「服務監督教育委員会や校長」が判断するとしています。制度の設計・運用・監視が、すべて同一となります。これでチェック可能といえるのか。
何より、急いで導入するべき制度なのか。他都府県では徳島県だけが条例提出していて、北海道が突出して進もうとしているのです。いま急ぐべきは学校でのコロナ対策であり、それは少人数学級と教員増員にほかならないはず。どこを向いて教育行政をしているのかと、話を聞くにつれて本当に腹立たしい。教員の多忙は、ぎゅうぎゅう詰めの学習指導要領と行き過ぎた管理のもとの業務ゆえではないのか。
「行事は中止したのに、1クラス数分しか見ない指導主事訪問は実施される」など、子どもの側より教育行政の都合を優先した事例もあると聞きますし、勉強ばかりの学校で子どものストレスが強まっている実態もあります。厳寒でも換気が必要としながら、その対策は現場任せになっているとも。そんな時に変形労働制なのかと、ますます腹立たしい。
そもそも政治の根本がおかしいから、さまざまな問題に直面することになっています。もうけと効率が最優先で、農業や教育への財政支出を渋り続けてきた日本の政治。早く変えなければと痛感します。
【今日の句】そんなこと 農家も子どもも 望んでない