歴史から学ぶ大切さ

 今日は帯広市で「アイヌ民族の人権を考える十勝集会」。昨年・一昨年と党道委員会で開いてきた集いの場を、今回は党十勝地区委員会との共催で開きました。会場いっぱいに参加があり、ひしひしと関心の高さが伝わってきました。

 内容は、アイヌ民族の権利回復に尽力している弁護士・市川守弘さんの講演に始まり、ラポロアイヌネイション会長・差間正樹さんとペウレ・ウタリの会阿寒支部会員である山本栄子さんのお話、最後に紙智子参議院議員の国会報告。私は閉会あいさつを務めました。

 市川さんの講演は、和人地と蝦夷地が分けられた歴史をさかのぼり、徳川家康の黒印状でも「蝦夷地のことは蝦夷次第」とされていたのは、アイヌが暮らしていたコタンは行政・司法・外交をおこなう「小さな独立国家のよう」(バチェラー)だったからと明らかにしました。なるほどと納得です。

 米国では連邦政府がインディアントライブと条約を結んでいたのに、日本政府はアイヌに同化政策を強いました。先住民族の権利が国際的に認められてきた今日でも、日本政府は権利の主体である集団(コタン)が存在しないとして、アイヌの権利回復に背を向けています。あらためて歴史をふまえることの大切さを学びました。

 差間さんは、先祖の遺骨を返還すべく苦労を重ねたことを話されました。和人のような1つの墓に埋葬するのではなく、1人ひとりを並べるように埋葬するアイヌにとって、コタンこそが管理の主体になります。差間さんは浦幌アイヌ協会として返還の道を開いたのですが、ここにも先のような日本政府の姿勢の理不尽さが見られるわけです。

 今はサケを獲る権利の回復に力を尽くしている差間さん。「私たちは何万年も前から十勝川の恩恵にあずかってきた」との言葉を、しっかり自分の腹に落としたい。経済利益のための川の利用ではなく、持続的に人類・民族が生きていくために川を利用する権利の問題です。

 本別町生まれの山本さんは、小学校入学の時からいじめに遭いました。20歳のときにペウレ・ウタリの会に出会い、アイヌとシャモ(和人)の若者が手を取り合い、アイヌ差別がない社会を築こうとの取り組みに感動したといいます。山本さんもアイヌの歴史を知ったことで、差別される筋合いはないと確信されたのでした。

 話を終えた後に「この場に呼んでくださったお礼をしたくて」と、山本さんはムックリを手にされました。その音色に、しばし聞き入りました。会場が1つになったような気がしました。

 紙議員は国会での取り組みとともに、道内各地をまわって交流・懇談した中身を詳しく報告しました。以前にブログでも書いた、御料牧場に眠っていたアイヌ強制移住の資料についても触れて、ここでも歴史の大切さを痛感。今回のようなつどいも含めて、くりかえし学びあうことが大切だと心から思います。

 いまだに差別が存在するのは、国際的な到達点に背を向けているだけでなく、歴史認識の問題があります。学校での学習の必要性も、これまで何度となく要望されてきました。国会や地方議会の論戦とともに、草の根からの発信や共通認識づくりも党として力を入れる仕事。課題と成果も明らかにしながら、私も力をあわせていきたいです。

 【今日の句】尊厳は 政府が奪う ものじゃない

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畠山和也
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