早く国際水準に

 アイヌ施策推進法が施行されて1年になろうとしています。この法律はアイヌにとって、どれだけの意味があるのか--あらためて思いをうかがう機会を持ちました。会場は江別市で、江別アイヌ協会や少数民族懇談会などからご参加いただきました。党からは吉本和子江別市議も同席しました。

 この法律で先住民族として初めて位置づけられたものの、先住権の内容としては国際水準ほど認められているわけではありません。自治体がアイヌ施策推進のためにと交付金も設けられていますが、どれだけアイヌの窮状に応えられるものか明らかではありません。ウポポイ(民族共生象徴空間)も、観光振興の面が強調されているように思います。

 「民族問題を、なぜ地域振興とセットにするのでしょうか。何億もアイヌの懐に入るかのように言われるが、まったく実態は違う」と素朴な疑問を呈したのは江別アイヌ協会・橋本隆行会長さん。もちろん観光業で働くアイヌの方もいますが、地域振興の面ばかりが先行していないかと指摘もされました。

 お2人の子どもと来てくださった女性は「法案のパブリックコメントには差別的な意見が9割以上もあったと聞きました。自分はアイヌだと子どもが言えない時代になってほしくない」と訴えられました。アイヌは先住民族であると国会では全会一致で決議があがり、今回の法律にも位置づけられたにもかかわらず、なのです。

 「歴史を知らない人がいっぱいいる。勉強できる場をつくってほしい」と強調したのは、少数民族懇談会の元会長・清水さん。現会長の原島さんは、サケ採捕について「検討委員会でも、現行憲法のもとでも解されると導き出されている。報告書にもとづき検討すべきではないか」と提起されました。

 言語や文化、土地や財産が奪われていったアイヌの歴史。橋本さんの「一般の家庭では何世代も積み重ねられてきた生き方や価値観が、アイヌの場合は財も含めて形成されなかった」という、歴史を振り返っての発言を重く受け止めたい。問われているのは政治の側であり、同時に国民の間に分断もつくってはならないと痛感しました。

 法は5年をめどにした見直し条項がありますが、「5年を待たずに進めるべきだ」との意見もありました。今日の懇談会は紙智子参議院議員も参加予定でしたが、東京からの移動を控えたこともあり、私の方から「今日の意見は、しっかり国政に反映させます」と述べました。大事な視点をいただいたと思っています。

 私自身は宮城県生まれで、北海道で教員を始めるにあたりアイヌの歴史を学んだというのが率直なところです。国政候補になってからも、多くのことを教えていただきました。世界では民族抑圧や搾取などへの謝罪を明確にし、先住権の具体化も進めています。日本でも早く国際水準に進むべき。あらためて実感した懇談会でした。

 【今日の句】人間として 生きている証こそ
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畠山和也
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