命は返ってこない

 実は少々プロレスに詳しい私にとって、女子プロレスラーの木村花さんが亡くなられたのは驚きしかありません。心から、ご冥福をお祈りいたします。

 同じくプロレスラーだった母親の木村響子さんにも帯同し、22歳ながらしっかりした試合もおこない、将来が期待されていた選手でした。事情のわからない方もいるでしょうが、木村選手が出演していたテレビ番組での行動に、くり返しネット上で誹謗中傷のコメントが寄せられたことに木村選手が心を痛めていたと言われています。

 私はこのテレビ番組を見ていないし、ネット上の誹謗中傷も知りませんでした。亡くなられた状況も今のところ明らかにされていませんし、どこまで明らかにするかは、ご家族のご意向もあると思います。状況を承知していないなかで、政党・政治家が述べるのは慎重でありたいと思っています。そのうえで報道されている中身から、一般論として、ネット上の誹謗中傷についてですが--

 どのような状況であれ、他人の存在や尊厳を傷つけるような言動・書き込みはあってはならないです。集中的・継続的に投げつけられ、それがネット上では記録として残されてもいるわけですから、くりかえし精神的に打撃を受けることになります。悪質なものには、そのネット上の管理者や、番組製作にかかわっている内容なら製作者側の対応も問われるかもしれません。

 著名人や有名選手などへの「有名税」だとして正当化する風潮も一部にありますが、そもそも人格やプライバシーにまでかかわる誹謗中傷をおこなうことまで、正当化していいものなのでしょうか。木村選手だけでなく、母親の響子さんにまで投げつけられていたといいます。どのような人が書き込んだのかわかりませんが、ネットの向こう側にいる生身の人間について思いを馳せることがなかったのでしょうか。

 すでに成人として、一定の社会経験を持ち責任を背負っている人が、他人の人格をも否定する言動などあってはなりません。社会経験が少なく、みずからの発信の影響を理解できないままネットを使い始めた若い世代や、これからネット環境に触れる子どもたちに向けた啓発や人権教育も必要だと思います。女性差別などを土台にした発信であるならば、社会的・政治的な取り組みも強めなければなりません。

 こういう時にこそ、他人の存在や人格を否定するようなことは許さないという、大人の姿勢が大事です。ヘイトスピーチやヘイトクライム、ハラスメントや女性差別などとも関連する問題ですし、根本的には人間の尊厳を守れるかどうか、です。

 くりかえしますが、まだ詳しい状況を承知していないもとでの一般論として書いたものですが、これからの未来がある若い方が亡くなったことは、本当に残念であり悔しくもあります。命は返ってこないという当たり前の事実を、重く受け止めなければ。悪罵の連鎖も止めなければ。あらためて木村選手のご冥福を、心からお祈りします。

 【今日の句】誰だって 大事な大事な 人の子だ
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畠山和也
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