米中貿易摩擦の背後にある覇権争い 

 米中貿易摩擦の今後の展開が不透明になっている。お互いに譲り合わないのは、これからの世界の覇者を目指して対立しているからである。 中国の経済発展はめざましく、今やGDPでは日本を抜き、アメリカに次ぐ世界第二位に躍り出ている。軍事の面でも、中国は空母を建造するなど、着々と軍拡を進めている。習近平政権は、「一帯一路」政策を展開し、世界中に拠点を築こうとしている。 最先端の通信技術は、世界のグローバルパワーとして、経済的にも軍事的にも不可欠な道具である。次世代の通信技術5Gについても、中国の技術は格段に進歩しており、アメリカが危機感を持っても不思議ではない。 米中間の摩擦は、世界の覇権をめぐる争いであり、中国がアメリカを追い抜くことができるのかどうかが問題である。アメリカはそういう事態を避けようとしており、それが現在の貿易摩擦に繋がっている。 1980年代に国際政治学の分野で「世界システム論」が一世を風靡したが、その理論は今でも参考になる。この理論は、近世以降、ほぼ100年の周期で世界の覇権国が交代するという考え方で、大雑把に言えば、16世紀はポルトガル、17世紀はオランダ、18世紀と19世続きをみる

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