東京地検特捜部は、秋元司衆議院議員の事務所を外為法違反で家宅捜索した。IR事業への参入を目指していた中国企業が多額の現金を不正に日本に持ち込んだ事件との絡みだ。 IRというが、要はカジノである。IR(統合型リゾート)というと国際会議場など何か格好の良い施設を想像させるが、それは誤魔化しであり、カジノがなければ経営がペイしない代物である。 カジノを中心としたIRを推進する議員立法法案が、国会会期末の2016年12月15日に成立した。国会の場で、カジノのもたらす諸問題とそれへの対応について十分な議論も措置も行われないまま、拙速に成立させたことには、国民の批判も強い。それは、各種の世論調査に明瞭に見て取れる。 カジノ解禁について、賛成—反対を問うと(%)、24.6—69.6(共同通信、2016年12月17,18日)、27—64 (朝日新聞、同月17,18日)、29.5−63.4(産経新聞、同月17,18日)、25−66(読売新聞、同月28,29日)、26−63(日本経済新聞、同月28,29日)と、反対が賛成の2倍以上である。 カジノ推進派は、経済的利益を強調する。具体的には、建設需要の高まり、雇用創出、観光客の増加、財政改善などである。私は、諸外国の都市に比べて、夕食後(アフター・ディナー)の楽しみがない、夜のエンタテイメントが不足していると何度も指摘してきたが、カジノもまたその重要な一要素である。 しかし、カジノには解決すべき問題も多々ある。その懸念の第一は、ギャンブル依存症である。厚生労働省が2013年に実施した調査では、依存症の疑いのある人は536万人にのぼるという。それは、多重債務問題にもつながり、ギャンブルに続きをみる『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』