6月1日、ポーランドでは大統領選挙の決選投票が行われた。親EUの中道派「市民プラットフォーム(PO)」ガ推すワルシャワ市長のラファウ・チャスコフスキ(53歳)と右派の「法と正義(PiS)」が支援するカロル・ナブロツキ(42歳)が対決したが、僅差で後者が当選した。この結果は、ポーランドのみならず、ヨーロッパ全体に大きな意味を持つ。 大統領選の第一回投票は5月18日に行われた。結果は、1位がチャスコフスキで投票率は31.36%、2位がナブロツキで29.54%、3位が極右政党「自由と独立連盟(同盟)」のスワボミル・メンツェンで14.81%、4位が極右政党「ポーランド王冠同盟」のグジェゴシュ・ブラウンで6.34%であった。投票率は67.31%で、第一回投票としては過去最高であった。 決選投票では、ナブロツキが50.89%、チャスコフスキが49.11%であった。 ポーランドでは、2015年の総選挙でPiSが勝ち、2期8年にわたって政権を担ってきた。PiSは、司法への介入、メディアの統制強化、人工妊娠中絶反対、LGBTの排除、移民の排斥、歴史的事実の否定(ユダヤ人迫害など)、反EUなどの政策を展開した。 ウクライナ戦争についても、ポーランドでは「支援疲れ」のムードが広がっており、支援に批判的な右派の勢力拡大の背景になっている。EUやウクライナよりも、「ポーランドが第一」だという声である。 2023年10月の総選挙では、PiSは第一党の座は確保したものの、野党が過半数を握り、EUの大統領も務めたトゥスク前大統領を首相に選び、政権交代が実現した。しかし、大統領はPiSのドゥダであり、法案に対して拒否権を発動できるため、その権限を行使してきた。大統領と首相の「ねじ続きをみる『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
ポーランド大統領選とその余波
