2月24日のロシア軍のウクライナ侵攻から100日が経つが、戦争は終わりそうにない。 ロシア軍の首脳は、プーチン大統領が設定した「特別軍事作戦」の目標が達成されるまで戦闘を続けると明言している。「大統領が掲げた目標」とは、ウクライナの「非ナチ化」、そしてNATO加盟阻止ということである。「非ナチ化」とは、ロシアがナチスとみなすゼレンスキー政権を打倒することである。打倒する、つまり非ナチ化して、反ナチスの親露派政権を誕生させれば、当然NATO加盟はなくなる。 その目的を達成するために、東部のドンバス州のみならず、首都キーウに侵攻したのである。簡単に目的を達成できると踏んだのであろう。しかし、それは大きな誤算であった。 第一の見当外れは、ウクライナ軍の激しい抵抗である。キーウを2〜3日で陥落させて、ゼレンスキー政権を追放し、傀儡政権を樹立する予定であった。ところが、攻めあぐんだのみならず、首都をウクライナ軍に奪還されてしまったのである。 2014年のロシアによるクリミア併合後、アメリカは総額15億ドル(約1600億円)の軍事支援をウクライナに供与してきた。その結果、ウクライナ軍の装備や訓練も飛躍的に向上した。それに加えて、最新鋭の兵器がNATOから続々と提供されており、それもロシア軍が苦戦する原因となっている。 第二の見当外れは、ロシア軍が意外に脆弱であったことである。ロシア軍は、第二次大戦のときと変わらない戦法で、ベラルーシ国境から侵攻していったが、戦車部隊の動きはウクライナ側に筒抜けであり、激しい抵抗に遭った。黒海艦隊の旗艦「モスクワ」が撃沈され続きをみる『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』