6月13日にイスラエルはイランの核施設などを奇襲攻撃した。イランもイスラエルに報復攻撃を行った。そして、22日には、米軍がイランの核施設を攻撃し、バンカーバスターなどによって地下施設も標的にした。そして、25日には両国間で停戦が実行に移された。 停戦合意が着実に守られるかどうかを注視する必要があるが、今回の戦争がもたらした中東における変化を読んでみたい。 第一は、この地域の大国、イランの弱体化である。イランは、イスラエルとアメリカの攻撃によって、軍事的に大きな打撃を受けた。兵器や軍事施設のみならず、司令官や核関連の科学者が殺害されるなど、人的被害も大きかった。 イランの弱体化は、中東のパワーバランスを大きく変化させることになる。 米軍による核施設攻撃への報復として、イランはカタールにある米軍基地を攻撃した。その攻撃は、事前にアメリカ側に通告されており、被害を最小限にする措置が講じられた。イラン政府にとっては、国内世論向けの報復パフォーマンスだった。 しかし、攻撃されたカタールにとっては不愉快な反撃であり、穏健な湾岸諸国はイランに対する不信感を抱き続けている。 2020年8月、トランプ大統領の仲介で、イスラエルはアラブ首長国連邦(UAE)と国交を正常化した。これをアブラハム合意と呼ぶ。イスラエルは、1979年にエジプトと、1994年にヨルダンと国交を正常化している。 9月にはバーレーン、10月にはスーダン、12月にはモロッコがイスラエルと平和条約を締結し、国交を正常化した。これも含めて、アブラハム合意と呼ぶことがある。これらの国は、イスラエルよりもイランのほうを脅威に感じていると言っ続きをみる『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
イスラエル・イランの停戦で中東は安定するのか、イランとアメリカの核協議は進展するか。
