感染症の危機管理:新型インフルエンザ対応の教訓(18)ワクチンの手配

 2009年5月に始まった新型インフルエンザのときには、8月に本格的な流行となった。暑くなれば、ウイルスの活動が鎮静化するわけではない。油断は禁物である。 ワクチンの手配も、副作用の問題もあり、随分と苦労した。新型コロナウイルスについては、まだワクチンができる状態ではなく、今は、特効薬を見つけることに全力をあげるべきである。 2009年8月19日、私は記者会見し、新型インフルエンザについて、「本格的な流行がすでに始まったと考えてよい」と表明した。8月3〜9日に全国約5000の医療機関から報告された患者数は1医療機関当たり平均0.99人となり、流行入りの指標とされる「1医療機関当たり1人」に近づいてきたからである。 国民に対しては、油断せずに感染拡大防止に協力するように要請した。この日、名古屋市で81歳の女性が死亡した。3人目の死者である。甲子園球児やプロ野球選手、大相撲力士などにも感染は拡大し、新型インフルエンザのますます広がっていった。 ワクチン接種の具体的計画については、まず費用負担は、全額自己負担となる任意接種を基本にする方針にした。これは、現行の法体系においては、そうせざるをえず、将来的には感染症法、予防接種法を改正する続きをみる

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