気配り外交で効果があるのか

28日から大阪でG20首脳会議が開かれる。日本は、外交で細かい気配りを忘れないが、それが必ずしも良い結果をもたらすものではない。 安倍政権は、このところ、外交でも国民の期待に応えられない事態が目立っている。拉致問題は全く進展していない。また、北方領土・平和条約交渉は、ロシアとの見解の隔たりが大きく、妥結は困難である。また、日韓関係は、手の打ちようがないほど悪化している。 4月に2019年版外交青書が出たが、北朝鮮、ロシア、韓国などについて、これまでの青書と大きく表現が変わっている。 まず北朝鮮については、2018年版にあった「北朝鮮に対する圧力を最大限まで高めていく」という表現が削除され、「国際社会と緊密に連携していく」という表現になっている。しかし、これを見て、金正恩が態度を軟化させ、拉致問題の解決に前向きになると考えるのは楽観的にすぎるであろう。 ロシアについては、「北方四島は日本に帰属する」という表現を削除している。これは日露交渉を加速化させるために、ロシアに配慮したものであるが、四島一括返還という基本方針を日本が放棄したものと国際社会は受け取るであろう。交渉の参院選前の決着は事実上不可能であり、何も急ぐ必要はない。 今回の外交青書の表現であれば、日本は二島返還論に舵を切ったと思われても仕方がない続きをみる

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