8月15日、タリバンはがアフガニスタンの政権を奪取した。 2001年9月11日、アメリカで同時多発テロが発生した。アルカイダが首謀者であり、タリバン政権がリーダーのオサマビンラディンを匿っているとして、米軍は「自衛のため」という名目でアフガニスタンに軍事侵攻した。その結果、2ヶ月でタリバン政権は崩壊し、アメリカを中心とする国々の支援でカルザイ暫定政権が成立した。 しかし、次第にタリバンは次第に勢力を復活させ、各地で攻勢に出た。一方、新生アフガン政府は、腐敗がはびこり、統治能力に欠け、アメリカの支援がなければ動けないような傀儡政権化していったのである。 トランプ政権は、タリバンと協議し、2020年2月にドーハで和平合意に署名した。その内容は、タリバンによるテロ活動停止を条件に、2021年5月までに米軍が完全に撤退するというものであり、バイデン政権も、この路線を踏襲し、米軍の撤退期限を8月末までに延長するとともに、テロ停止などの条件は無くしたのである。 タリバンを育てたパキスタンは、交渉による政権移譲のシナリオを描いていたが、タリバンはそれを受け入れず、両者の関係は悪化している。タリバンは、パキスタン側の思惑をも超える巧妙な動きをして、カブールを無血開城したのである。 中国は、今回の事態を歓迎している。それは、アメリカ外交の「大失敗」だからであり、世界の覇権をアメリカと争っている中国が歓迎しないはずはない。 7月末には、タリバンの指導者、バラダル議長が天津市を訪問し、王毅外相と会談している。中国は、隣国のアフガニスタンから外国軍隊が撤退することを歓迎し、復興支援をすることを約束している。アフガニスタンと友好関係を結ぶことにより、習近平の一帯一路構想がさらに進む。中国はパキスタンとの関係を強化し、「パキスタン回廊」によってグワダル港を利用して、インド洋への拠点を作ろうとしている。そのルートの確保にタリバン政権が協力することは、中国にとって望ましいのである。 新疆ウイグル自治区における人権弾圧を進めている習近平政権は、イスラム教徒のテロリストが両国間を行き来することを阻止することを狙っているが、その点でもタリバン政権が親中国化するのは好ましい。 ロシアは、ソ連邦時代にアフガニスタンに軍事侵攻し、10年間にわたって影響力を行使しようとしたが、今回のアメリカと同様に失敗した苦い過去を持つ。当時のソ連は、イスラム過激思想がソ連に流入しないようにするために侵攻したのである。ベルリ続きをみる『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』