新型コロナウイルスのワクチンが開発されたときに、接種の優先順位をどうするか。また、費用は誰がもつのか。様々な議論がなされている。 2009年に新型インフルエンザが流行したとき、厚労大臣の私がどのように対応したかを、以下に参考に掲げる。 新型インフルの場合、ワクチン接種の具体的計画については、まず費用負担は、全額自己負担となる任意接種を基本にする方針にした。これは、現行の法体系においては、そうせざるをえず、将来的には感染症法、予防接種法を改正する方向で国民負担を減らす必要があると考えた。 最大の問題は、任意ではなく強制接種にした場合、副反応(副作用)が起こったときの責任の追及や賠償をどうするかということである。さらにその背景には、ワクチン接種に積極的な専門家と消極的な専門家の対立もある。副作用への補償も、医師やワクチンメーカーではなく、国民全体が拠出する基金で行うというのも一つの手である。 次の問題は、ワクチン接種の優先順位を決めることである。これについては、専門家と協議を重ね、2009年8月25日の記者会見で、おおまかな方針を明らかにした。優先接種の対象者として、まず重症化しやすい基礎疾患のある人(1続きをみる『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』