日本学術会議の問題点

 菅首相による日本学術会議新会員候補6人の任命拒否問題が議論になっている。 日本学術会議は、1949年に設立され、総理府の機関となり、2001年には総務省の管轄下に置かれたが、2005年からまた内閣総理大臣の所轄となって、今日に至っている。経費は国の負担で、現在年間約10億円の予算で運営されている。 日本学術会議法の第2条は、その目的を「科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させること」としている。 そして、科学政策などについて、政府は学術会議に諮問することができるし、会議は政府に勧告することができると規定されている。 第3条には、「独立して」職務を行うと規定され、学術会議によって推薦された候補者を内閣総理大臣が任命することになっている(17条、7条)。任命権者は首相なので、菅首相が誰を任命しようが自由だが、学術会議の「推薦に基づいて」ということの事実上の強制力が法的には議論となる。 日本国憲法第6条は、天皇が、「国会の指名に基いて」内閣総理大臣を、「内閣の指名に基いて」最高裁長官を任命すると規定してある。象徴である天皇が政治的判断をすることは、現憲法の措定するところではない。 そこで、学術会議会員も同じで、首相が政治的判断を下して、会議の「推薦」を拒否すべきではないという意見もある。しかし、「推薦」は「指名」よりも強制力が軽く、首相の政治的判断で拒否してもよいという立場もありうる。ただ、問題の本質は続きをみる

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