平時と有事は違う

 日本は、平和が続いためか、新型コロナウイルスの感染という有事への対応ができていない。 コロナ対策が1年前から全く進歩していない状況で、今や頼みの綱はワクチン接種であるが、順調に進んでいるとは思えない。そもそも供給量が限られている。また、電話やインターネットで早い者勝ちに受付をして回線がパンクするなど、現場では様々な混乱が続いている。高齢者にスマホを操作しろというだけでも無理なのである。 また、離党や僻地では村の全住民に既に接種が終わっている。ところが、人口密集地域の東京や大阪では遅れに遅れている。今はコロナと戦っている戦時中である。しかし、政府の行っていることは、平時の作業である。 菅首相の対応を見ていると、彼は「平時の宰相」であって、「有事の宰相」としてはふさわしくないことが分かる。自分の意に沿わない官僚は更迭するが、官僚を将棋の駒のように動かして一大戦略を完遂することができない。そもそも戦略を持っているかどうかさえ疑いたくなる。 厚労官僚を動かすことのできない加藤勝信厚労大臣にしびれを切らしたのか、安倍前首相は西村経済再生大臣を特措法の担当にし、菅首相は田村憲久厚労大臣に加えて河野太郎行革担当大臣をワクチン担当に任命した。感染症対策の基本は、厚労大臣に権限を集中させることであり、感染症法体系の組み立てもそうなっている。3人もの大臣がコロナ対策に当たっている例など、他国ではあまり聞いたことがな続きをみる

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