【新型コロナウイルス感染症対策】1都3県知事、国に対して共同要望を提出

本日、新型コロナウイルス感染症対策に関して、1都3県知事は連名で国に対して共同要望を提出したという報告を千葉県より受けましたので、お伝えいたします。

 

【新型コロナウイルス感染症対策に関する要望について】

一都三県は、これまで緊密に連携を図りつつ、人流の抑制をはじめ、感染拡大防止に向けた様々な取組を一体的かつ徹底的に講じてきた。県民・都民や事業者、医療従事者の方々の尽力もあり、新規陽性者数は減少しているものの、直近では下げ止まりの傾向を示すとともに、医療提供体制も逼迫した状況にあるなど、総じて厳しい局面が続いている。そうした中、緊急事態宣言が再延長されたところであるが、感染の拡大を徹底的に抑え込み、我々一人ひとりの日常生活を早く取り戻すためには、国と一都三県が同じ危機意識の下、強い決意を持って実効性ある対策に全力で取り組んでいくことが必要である。
そこで、以下の事項について特段の措置を早急に講じられるよう、要望する。

要 望
1.感染再拡大防止(リバウンド対策)について

(1)これまでの対策で経験した知見の収集やクラスター発生の防止に効果のあった国内外の事例の分析等を進め、それに基づき、感染拡大防止に資する要因を国民に対して積極的に公表すること。また、各自治体が積極的疫学調査をより効率的・効果的に進められるよう、最新の知見等を生かした実施要領の見直しを継続的に行うこと。

2.変異株への対応について
(1)新型コロナウイルスの変異株への対応を迅速に行うため、国が地方衛生研究所等から収集した検体について、速やかにゲノム解析を実施し、検査結果等の情報を各自治体へ還元するとともに、変異株に対する積極的疫学調査の指針を示す等により支援すること。

(2)世界各国での変異株の確認状況等を踏まえ、国内での変異株の検出・伝播を常時監視するとともに、各国からの入国制限や入国時の待機期間等の条件を必要に応じて見直すなど、水際対策を強化・徹底すること。

(3)地方衛生研究所のほか、民間の検査機関・大学等においても変異株の有無を判定する検査を実施できるよう、技術的・財政的な支援を行うこと。また、変異株陽性と判明した際には各自治体に情報を共有するよう、各検査機関等へ周知・徹底すること。

3.新型コロナウイルスワクチンの接種について

(1)ワクチン接種については、「国民の安全・安心を第一に進めていく」との基本姿勢に立ち、現場で生じる種々の疑問に対し早急に対応できる体制を構築するなど、接種体制やシステムも含めた諸課題について検証しながら丁寧かつ着実に進めること。

(2)ワクチン接種関連システムについて、早期に「ワクチン接種記録システム」及び「ワクチン接種円滑化システム(V-SYS)」を情報連携させるとともに、自治体のシステムとの円滑な情報連携を図り、データ入力や移行作業が必要最小限で済むようにするなど、自治体に過度な負担とならないよう改修を行うこと。

(3)ワクチン接種の今後のスケジュール等について、国として直ちにその目安を示した上で、ワクチンの種類や量、供給時期及び副反応等についての情報を、現場に対し早急に提供するとともに、区市町村や医療機関等が連携して円滑かつ迅速に実施することができるよう、ワクチン接種の意義及び副反応も含めた具体的情報を国民に対し周知・広報を行うこと。

(4)医療従事者等に対する優先接種に際しては、当初の予定より百万人増加することとなった優先接種対象者への適切な対応も含め、ワクチンの供給量を十分に確保するとともに、全体的なワクチン供給スケジュールや、供給量に制約がある中での接種の考え方を示すなど、できる限り速やかに医療従事者等への優先接種を完了し、高齢者に対する優先接種への移行が可能となるように取り計らうこと。さらに、今後の医療従事者
等向け優先接種に係るワクチンの配分については、医療従事者数のみによる割当てではなく、最前線で対策に当たる従事者の安全と医療提供体制の確保に十分配慮し、陽性者数や入院患者数、受入病床の確保数等を勘案すること。

(5)4月からの高齢者への優先接種に際しては、ワクチンの供給量を十分に確保すること。また、供給量に制約がある場合は接種についての考え方を示すとともに、ワクチン供給体制を踏まえた現実的なスケジュールのもと丁寧に進めること。

(6)新型コロナウイルスワクチン接種に当たり、現場での実情を十分に考慮し、各自治体での負担が生じないよう、国の責任において十分な財政措置を行うこと。

(7)接種計画に大きな影響を及ぼすため、1バイアルからの採取可能数を5 回分とするのか 6 回分とするのか早期に示すこと。また、キャンセルの場合も含めたワクチン余剰分の取り扱いについて、ワクチンを出来る限り無駄なく使用するため、地域ごとの事情や現場の判断により当初予定していた方以外に接種することも可能とすること。やむを得ず廃棄する場合にも、その責任を医療現場に押しつけることのないよう配慮すること。さらに、余剰分のワクチン接種を受けた場合にも健康被害の救済等で不利な取扱いとなることのないよう、国として対応指針を明確に示すこと。

4.水際対策について
(1)東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催を控え、訪日外国人と国民の安全を守るため、入国者・帰国者に対し、出国時の陰性証明を活用するとともに、入国時の検査、専用アプリの利用義務付けを徹底するなど、入国者の確実な防疫措置・行動追跡に向け、国の責任において徹底した対策を実施すること。

5.地方創生臨時交付金について

(1)地方創生臨時交付金については、今後の感染状況を踏まえ、予備費の活用も含め必要に応じて機動的な増額を行うとともに、令和3年度も全ての地方自治体が必要とする額を確保すること。今後の財政措置について、各自治体の意見を取り入れるとともに、その配分に当たっては、地方自治体の財政力による補正を行うことなく、直近の感染者数や医療需要など感染状況の実態や支給対象事業者数などを的確に反映すること。また、地方自治体の資金繰りに支障を生じないよう、速やかに交付すること。

(2)緊急事態措置を実施すべき区域から解除された都道府県に対して講じられる「協力要請推進枠の経過措置」について、確実に措置するとともに、各自治体の意見を踏まえたうえで、その期間も含め適切に対応すること。

6.新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金について

(1)新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金については、医療提供体制の確保に不可欠であることから、引き続き必要な額を措置するとともに、地域の実情や感染状況に応じた機動的な対応が可能となるよう、対象の拡充や弾力的な運用を認めること。特に高齢者施設等の従事者等の検査については、クラスター防止の観点からも国において全額財政措置を
行うこと。

7.感染拡大防止協力金について
(1)協力金について、国は事業規模に応じて支給額に差を設けることができることとしているが、事業の規模を表す指標は示していない。地方自治体間で異なる制度とならないよう、国の責任で制度を構築すること。

(2)協力金は、臨時交付金の地方単独事業分を活用せざるを得ず、その結果、臨時交付金(の地方単独事業分)を他の中小企業の感染症対策や経済の回復に向けた支援等の財源として十分に活用することができないことから、国において臨時交付金の地方単独事業分とは別に全額国費で負担すること。

(3)緊急事態措置区域から除外された都県及びまん延防止等重点措置を実施すべき区域とされた都県における協力金の支給対象区域は、都県内全域とすることを含め都県の意向を尊重すること。

8.事業者等に対する支援について
(1)飲食店の時短営業等により影響を受けた事業者への一時支援金について、支給額の拡大を図るとともに、減収要件を緩和するなど、制度の拡充を図ること。また、緊急事態宣言の期間延長による影響も反映させること。

(2)緊急事態宣言の期間延長の影響を受ける事業者を十分に支援するため、持続化給付金及び家賃支援給付金の再度支給、雇用調整助成金の特例措置及び休業支援金・給付金の対象期間の更なる延長並びに事業再構築補助金及び持続化補助金のさらなる拡充を図ること。

9.国民健康保険等の被保険者に対する支援について
(1)令和2年度に実施した「新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した被保険者等に係る国民健康保険及び後期高齢者医療制度の保険料(税)減免に対する財政支援」、「新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少したこと等による介護保険の第一号保険料の減免に対する財政支援」を令和 3 年度も継続すること。

10.診療・検査医療機関について
(1)地域の診療・検査体制を支えている診療・検査医療機関の確保に対する国からの支援は、三次補正予算における「新型コロナウイルス感染症感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金」のみであり、既に支給を受けた医療機関にとっては4月以降支援がなくなる状況である。適切な診療・検査体制を確保するためにも国において継続的な支援を検討すること。