市の承認なく耕作すれば、明らかに道路法に抵触

「リニアには、なすびとトマトがよく似合う。」最近河村市長が、さまざまな会場で口にする言葉だ。

さて、JR名古屋駅前の名古屋市が管理する歩道上の植え込みに、何者かによって「野菜畑」がつくられた問題は、市民の間でも結構話題となっている。そもそもこの場所は、名古屋市が市民の皆様からお預かりした税金を投入してつくった道路。名駅前の一等地ということもあり、路線価は坪6,000万円と超高額な農園となっている。名古屋市は野菜畑をつくった70歳代男性に対し、一時撤去を求めたものの、河村市長は「ええことやないですか」と栽培を認める姿勢を示している。

しかし、市民の皆様からはさまざまなご意見が噴出。

「わしはお金を出して市民農園で野菜を育てている。道路脇でお金も出さずに作物をつくるのは納得できない。」「公園でも道路脇でも河川敷でも、どこでも勝手に野菜畑をつくってしまったら、公園や道路など本来の役割を果たさなくなる。」など、どちらかといえば批判的な意見が多いようだ。

さて、この問題を道路法といった視点から評価するとどうなるのか。

■ 道路法
第二十四条 道路管理者以外の者は、(中略)道路に関する工事の設計及び実施計画について道路管理者の承認を受けて道路に関する工事又は道路の維持を行うことができる。

第三十二条 道路に次の各号のいずれかに掲げる工作物、物件又は施設を設け、継続して道路を使用しようとする場合においては、道路管理者の許可を受けなければならない。
(略)
2 前項の許可を受けようとする者は、左の各号に掲げる事項を記載した申請書を道路管理者に提出しなければならない。

つまり、道路(歩道や歩道上の植え込みを含む)上で、道路を使用しようとする場合においては、自治体から「道路占用許可」や「承認」を受ける必要がある。

この点について道路法を所管する国土交通省にお尋ねしてみた。

■ 国土交通省
「市民の皆様や企業の方々が道路(歩道や歩道上の植え込みを含む)上で電柱工事をするなど何かを設置したり継続して使用したりする場合には、『道路占用許可』や『承認』を受ける必要がある。今回、自治体のあずかり知らないところで野菜畑を作っていることから、明らかに道路法に抵触しているといえる。

また、道路上で野菜畑を作りたいとして市に許可申請した場合の扱いだが、道路法は道路上に野菜畑を作ることを想定しておらず、いいともダメとも書いていない。ただ、市が承認すれば違法とは言えない。

仮に国が管理する直轄道路で野菜畑を作りたいという申請があった場合だが、特定の方が税金で作った道路区域で野菜畑を作ることは適当ではなく、承認することはない。また、全国でも承認した事例はない。」

しかし、そもそもこの問題が出た背景のひとつに、行革と称して歩道上の植え込みや公園の除草をやめさせた市長にも責任があるのではという人も少なくない。「雑草でいっぱいになった植え込みを放置していたからこそ招いた問題では」と市民。

いずれにしても、名古屋駅前といえば名古屋の玄関口。名古屋に訪れた方々を生い茂った雑草がおもてなしするのはあまりにも悲しい。行革だからやらないというのではなく、せめて玄関ぐらいはおもてなしの気持ちを表してほしいもの。
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横井利明
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