日本では約1万社のスタートアップが日々新しい挑戦をしているといわれている。しかし、グローバルに活躍する企業は日本ではほとんど育たない。いや、スタートアップの世界では、日本はすでに世界から取り残された感すらある。
■ Startup(スタートアップ)
既に存在する他の会社が提供している商品やサービスと同じ内容のビジネス展開を目指すのではなく、革新的な技術や新しいビジネスモデルを開発し、今までに無いイノベーションを起こし世の中を変える、ごく短時間のうちに急激な成長とエクジットビジネスモデルで世界に新しい価値を提供する市場開拓フェーズにある企業や事業。
■ The Global Unicorn Club(ユニコーンクラブ)
ユニコーンとは、評価額10億ドル(約1,000億円)以上の非上場で、設立から10年以内のスタートアップ企業をさす。2019.12.20現在、世界で428社あるユニコーンの多くがアメリカと中国の企業。
■ Unicorn上位国(世界428社中)
1. アメリカ 210社
2. 中国 99社
3. インド 19社
4. イギリス18社
5. ドイツ 12社
6. 韓国 10社
7. イスラエル 6社
7. フランス 6社
9. インドネシア 5社
9. ブラジル 5社
9. スイス 5社
12. 日本 3社
12. オーストラリア 3社
14. シンガポール 2社
14. スエーデン 2社
14. カナダ 2社
14. スペイン 2社
14. コロンビア 2社
アメリカ調査会社「CBインサイト」ホームページによると、ユニコーンのうち、アメリカは210社、中国は99社とずば抜けている。つづいてインド、イギリス、ドイツ...一方、日本はわずか3社とベストテンにも入ることができない。
かつて日本は、「ソニーのウォークマン」や「任天堂ゲーム」「VHS」「フラッシュメモリー」「ノートパソコン」など、世界のテクノロジーを牽引する国だった。しかし、今では、革新的な技術や新しいビジネスモデルなどの世界に向けた発信があまり聞こえてこない。
■ 日本ではスタートアップ支援が機能しない理由
・有為な人材が大企業に集まり、スタートアップ企業になかなか人材が集まらない。
・イノベーションを起こし、急激な成長を果たしたり、一獲千金を狙うようなマインドがない。
・シリコンバレーのように、多額投資をする企業が日本国内には少ない。
・日本では規制が多く新しい挑戦を阻む。
・社会全体として変革のスピードが遅い。
世界各地で誕生するスタートアップ企業は、人やモノ、サービスを次々につなぐ。人やモノ、サービスはこれら企業によって次々に取り込まれる。まさにウーバーやDiDiなどのような企業によって、日本の富や世界に吸い上げられ、現業で働く人々は汗するものの、いつまでたっても給料が上がらない社会。そんな日本の将来が見えてくる。そんな危機感が日本社会にないこと自体が危機的状況なのだが...
昭和区鶴舞で計画する日本初ともいえる本格的スタートアップ拠点「ステーションAi」。ソフトバンクを始めとした投資企業、名だたる世界の大学や企業も参加する予定だ。世界で戦い、勝てるスタートアップ企業を生み出す大きな原動力となるよう、規制緩和を含めた積極的な取り組みを進めていきたい。