愛知県もIR誘致へ

12月19日、大村秀章愛知県知事はIR(Integrated Resort:統合型リゾート)の誘致について、「可能性を見極める」ことを表明した。事実上、IRに名乗りを上げたものととらえている。「投資を行うのは民間事業者。中部国際空港島でのIRの可能性を見極めるために、IR関連事業者から幅広く意見を募集する。」と大村知事は誘致に向けた考えを語っている。

愛知県は民間からの意見募集をもとに、4月にはIR誘致レースに名乗りを上げるかどうかを判断する。

候補地として挙げられている中部国際空港島には、今年8月、中部国際空港直結の国際展示場「Aichi Sky Expo(アイチ・スカイ・エキスポ)」が開業しており、このMICEを核にIRを展開していく構想。展示場を含む東側地域約50ヘクタールがIR候補地の検討対象となっている。

中部国際空港島にIRを整備した場合、空港直結であるだけでなく、名古屋駅から電車で30分圏内と、国内外からのアクセスは抜群。すでに愛知県はコンサルティング事業者から空港島の立地には優位性があるという報告を受けている。

■ IR誘致に向けた今後のスケジュール
IR誘致に挑む自治体は2021年1月4日から7月30日の間に国に申請を行う必要がある。国は申請を行った自治体の中から最大3箇所を選び、2021年後半~2022年頃に正式にIR候補地として認定する。開業は2024~2025年の見通し。

■ 現時点での誘致に向けた状況
国は最大3か所でIRを整備する方針だが、これまでに大阪府や横浜市和歌山県などが誘致を表明。一方、政府がおこなったアンケートに前向きな回答を出していた自治体は、横浜市、東京都(台場)、千葉県(幕張)、愛知県(中部国際空港)、名古屋市(未定)、大阪府・市(夢洲)、和歌山県(マリーナシティ)、長崎県(ハウステンボス)となっている。なお、アンケートには前向きだったものの、北海道は誘致を見送った。

■ 名古屋市は?
名古屋市は「名駅」「長島」「名古屋港」などさまざまな候補地について、河村市長が言及しているものの、現時点では絞り切れていない段階。ただ、そもそも長島スパーランドは三重県。名古屋市が他人の土地に口出しすべきではなく、一方、名古屋駅にはIR候補地となるような広い場所はない。金城ふ頭にも余った場所はなく、ただ一つ可能性が残されている場所は「ポートアイランド」のみ。しかし現時点ではポートアイランドの帰属は決まっておらず、愛知県との調整が必要になることから、ベストの候補地ではあるものの、2021年には間に合わない。

一方、広大な土地が残されているのは港区南陽地区。区画整理事業と地下鉄の延伸は住民の悲願であり、それら事業並びに住民のご理解があれば、可能性はゼロではないだろう。そして、やや面積が狭いものの、ガーデンふ頭や選手村が予定されている名古屋競馬場跡地、志段味(守山区)なども視野に入るかもしれない。ただ、これら候補地は住民が周辺に居住しており、反対の声が上がる可能性も否定できない。結局は市内に候補地はないというのが大方の見方。

■ 統合型リゾート (IR) とは?
カジノだけでなく、国際規模のホテルや会議・コンベンション施設、レストラン、大型ショッピング施設、テーマパークなどをそろえた複合施設。日本が中国の近隣に位置し、日本が中国人観光客のお気に入りの旅行先であることから、日本はカジノの世界最大の拠点になるとの指摘もある。なお、中国における海外旅行者は年間1億人。

■ IRを誘致したシンガポール
・外国人観光客が55%増、年間6,500万人の旅行客を誘致
・2万人以上の雇用を創出
・観光収入が64%増
・GDPが5%から6%
・MICEが36%増

■ ギャンブル依存症対策
政府はギャンブル依存症対策として、カジノの規模をIRの延床面積の3%以下に、入場回数を28日間で10回に制限。本人・入場回数の確認手段としてマイナンバーカードを活用する。入場料を6000円に設定した。

一方、IRを誘致したシンガポールでは、3年ごとに、国民と永住権保持者のうちでギャンブル依存症が疑われる者の割合を調査。カジノのオープン5年前の2005年には4.1%だったギャンブル依存症の割合が、2008年には2.9%、2010年に大型IRを2か所オープンした後、2011年には2.6%、2014年の調査時には0.7%、2017年の調査では0.9%。カジノのオープンがシンガポールにギャンブル依存症を増やす結果にはなっていない。カジノへの入場料の徴収とカジノへの入場規制、入場制限回数が功を奏したとされている。
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横井利明
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