河村市長・観光文化交流局の情報収集力に課題 天守閣木造復元

「わしは文化庁の次長から話を聞いとる。提出書類はめどがついた。あとは石垣部会の理解を得れば申請は通る。浅井さんはなにこいとるぅ~!!」

名古屋市会本会議で「現天守閣解体にかかる現状変更許可の申請」について取り上げた浅井市議の圧倒的な情報収集力と、河村市長や観光文化交流局が有する情報量との差が、質疑と答弁の食い違いを生んだと言っていいだろう。

観光文化交流局は、文化庁や石垣部会からほとんど情報収集ができていない。信頼関係の構築も不十分。一方の浅井市議は関係者との強固な信頼関係をすでに構築。豊富な情報をもとにさまざまな分析をおこない、今後の行く末について一定の見通しを立てている。

一方、河村市長は文化庁の次長に直接面会している。大物国会議員の口利きもあることから、文化庁もかなり丁寧な扱いに終始しているようだ。が故に文化庁もなかなか本音で話すことができず、「石垣部会さんとよく話をしてください。」と一般論に終始している。

しかし、名古屋市のおかれている現状は、「解体にかかる現状変更許可の申請」に必要な資料が全くできていないまま申請を提出してしまった状態。文化庁、また文化審議会、第三専門委員会においても、不備なものを許可するわけにはいかないというのが本音だろう。そんなことをすれば、文化財保護行政に対する信頼を失いかねない。

文化庁からは名古屋市に再三にわたり、「解体にかかる現状変更許可の申請は取り下げて、復元の申請と一体で提出してほしい。」とアドバイスしているものの、名古屋市は一向に受け入れようとしない。石垣部会も石垣保現計画の作成など調査不十分で強行提出した「解体にかかる現状変更許可の申請」に対し、「承服しかねる」とこぶしを上げたまま。このままだと、10月18日(金)にも開催される文化審議会で、現状変更許可申請では日本初となる「不許可」となる可能性も否定できない。

「現天守閣の解体にかかる現状変更許可の申請」が仮に「不許可」となれば、本市としても再び同じ申請を提出することは、極めて困難になるといっていい。その場合は木造復元は事実上困難となるため、私たちとしては最悪の事態を招かないよう本会議で「解体にかかる現状変更許可の申請」の取り下げを求めてきた。しかし、河村市長も観光文化交流局長も根拠のない強気の姿勢を崩しておらず、このままでは「不許可」が現実のものとなるかもしれない。
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横井利明
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