尊厳の尊重を土台に

 札幌エルプラザにて、平取町立二風谷アイヌ文化博物館の移動展「1903年夏の平取--B・ピウスツキたちの短期調査より--」が開かれています。当時の貴重な写真などもあり、交流された様子がよくわかります。

 ピウスツキは人類学者・社会学者・政治活動家であり、樺太アイヌの研究者でもあります。ロウ管蓄音機での録音や、カメラを用いた撮影と調査など当時としては珍しい形で研究資料を残しており、他の調査団との記録の一端が展示されています。ちなみに昨年、日本とポーランドは国交樹立100年を迎えるほどの歴史を重ねてきています。

 写真や記録を見て感じたのは、単なる好奇心でなく、他民族の尊厳を尊重しながらの研究だったことです。約1週間にわたり滞在した平取コタン(集落)でもピウスツキをあたたかく迎え、調査への協力だけでなく、その後は欧州の万国博覧会にも参加するなど、意外な交流があったことも移動展では学ぶことができます。

 ピウスツキは皇帝暗殺未遂事件の容疑がかけられ、サハリンへの流刑が命じられた過去がありました。その後、アムール地方での研究が高じてアイヌ研究へと進んだようですが、自分が虐げられたことによる人間への優しさが反映したと思うのは考えすぎでしょうか。

 詳しくは、26日まで開催している移動展や、現地の二風谷アイヌ文化博物館に足を運ばれてほしい。歴史を知ることは、私たちが今をどう生きるかにもつながっています。日本政府として民族共生を本気で進めるのであれば、このような歴史を学べる多面的な機会ができることも望まれます。そういう発信を、私としても進めていきたい。

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畠山和也
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