厚労大臣として2009年の新型インフルエンザにどう対応したか(3)

 感染症の拡大を防ぐには、あらゆる対策を講じるべきである。 新型インフルエンザのとき、空港での機内検疫など、水際対策もその一環として行った。日本は幸いなことに、他国と海で隔絶された島国である。空港と港での検疫をしっかりと実施すれば、相当数の感染源を足止めすることができる。 空港で感染が疑われる患者が出た際にも、異例の措置をとった。 今でこそ、全国で新型インフルエンザかどうかの検査をすることが可能だが、当初は、東京都武蔵村山市の国立感染症研究所でしか、正確な検査ができなかった。 成田で採取した患者の検体を取ると、すぐさま武蔵村山市に運ばねばならない。車を利用すると、首都圏を東から西に横断するルートを辿らねばならず、必ずといっていいほど渋滞にはまってしまう。厚労省の運搬車は緊急車両でないので、やたらに時間がかかったのである。 そこで、私は関係省庁を説得して、この検体を載せた車両を、パトカーで先導させた。地方で感染者と思しき事例が出た際にも、飛行機で羽田空港まで検体を運ばせ、パトカーで先導して国立感染研へ向かわせた。一刻も早い結果判明のために、最善を尽くしたのである。 ただでさえ、当時は新型インフルエンザワクチン製造のメドが立たず、本格的流行を遅らせ「時間稼ぎ」をする必要があった。 これらのやり方を、「大げさだ」、「パフォーマンスではないか」などと、批判するマスコミもあったことは事実だ。だが、日本での流行を1日で続きをみる

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