イマニュエル・ウォーラーステインが提唱した世界システム論とは?

 8月31日、世界システムの体系的な理論を提示したイマニュエル・ウォーラーステイン教授が死去した。88歳。私も教授の理論を援用し、今でも、米中覇権競争などの考察に、この理論を使っている。 第二次大戦後の国際秩序をパックス・アメリカーナ(Pax Americana)と呼ぶが、そのアメリカの覇権に挑戦しているのが中国である。もし中国の天下が来れば、それはパックス・シニカ(Pax Sinica)となる。 世界システム論とは、国際社会を一つのシステムと考えて、それが歴史的にどのような変遷をとげていったかを考察するものである。 ウォーラーステインによれば、15世紀末のヨーロッパに資本主義的な「世界経済」が成立し、それが近代的な世界システムとして次第に世界を覆っていったという。 歴史をふり返ると、世界システムは、古代には世界帝国として現れる。たとえば、中国、エジプト、ローマなどで続きをみる

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