介護の人材不足を補うための方法のひとつとして注目を集めているのは介護ロボットの導入です。
政府は介護ロボットの開発研修に多くの予算を投入し、今年度の予算案ではロボット介護機器・福祉用具開発標準化事業の14億円。
介護ロボット開発等加速化事業の4.8億円など、多額の予算を算定しています。
ただ、現場ではまだまだ介護ロボットの恩恵を充分に受けているとは言い難いのが現状です。
2017年度時点の調査結果ですが、介護施設における介護ロボットの導入状況では「いずれも導入していない」と回答した施設が75.4%を占めています。
まだまだ介護ロボットを導入している施設は少数であることがわかります。
では、介護の現場ではどのような介護ロボットが実際に使われているのでしょうか。
たとえば、移乗(トランスファー)の際に介護職員にかかる負担を軽減するパワードスーツ。
腰痛による離職が多い介護職員の負担軽減・労働災害防止策として期待されています。
しかし、スーツ自体の重量が重いことや着用にかかる時間がかかることなども課題になっており、導入したものの使用される頻度が減っている施設などもあるようです。
排泄のためのロボット開発も進んでいます。
膀胱内に貯留されている尿量をセンサーで検知し、トイレ誘導の最適なタイミングを教えてくれるロボットも開発され、すでに実用されています。
最も多く活用されているのは見守りセンサーです。
離床やマットを踏んだ瞬間にナースステーションに通知される仕組みになりますが、センサーの鳴る回数が過剰でかえって職員の負担が増大するなど、利用者や環境に合わせた調整が不十分では効果を発揮することができません。
最大の課題はこういったロボットを使いこなし、現場レベルでの活用を推進していける人材の確保でしょう。
まだまだ機械を介護に導入することに抵抗を感じている介護職員も多いために、現場への導入や実践が十分進んでいない事実があります。
介護ロボットの運用についての専門資格として「スマート介護士」という資格も誕生しました。
介護の現場でロボットを活用して、心理的なハードルを低くしていくことや、その施設ごとの現場レベルで活用可能なロボットの導入を立案できる職員の存在が求められています。
施設によって抱えている課題はそれぞれ異なります。
様々なロボット導入事例を通して、現場に合わせた課題をロボットで解決する可能性を探っていくことも必要です。
それだけでなく、現場のニーズに合ったロボット開発ができるよう、介護ロボットを活用している介護施設から現場の声をあげて、ロボット開発に生かしていくこともますます重要になっていくでしょう。
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