B6型SL 車輪をまわすだけじゃもったいない

1904年にドイツ・ハノーバー社が製造した「B6型SL(以下B6)」。日露戦争で軍事物資を運ぶため輸入され、中央線や高山線を走り、昭和23年に廃車。昭和43年に名古屋市に寄贈され、その後、名古屋市科学館に展示されていた。現存するB6は世界唯一とされ、115年前に製造されたB6は、蒸気機関の歴史を語る上でも極めて貴重な産業遺産とされている。

平成28年にはSLの復元を多数手がけるサッパボイラ(大阪市)に運びこまれ調査を進めたものの、ボイラー内部の損傷が激しく、蒸気で試験走行できる状態に整備するだけで4億8,000万円かかる見込みであることがわかっている。さらに、実走行に向けた問題も山積。客車はどう調達するのか、走行させる路線は見つかるのか、車検を取得するのかしないのか、線路や駅の設置、排煙などの環境問題、蒸気機関を整備・運転する人員の問題など…

一方、名古屋市教育委員会は、これらコストの予測ができないほど膨大なものになると考えている。モーター駆動で車輪を動かせる程度の修理をおこなったのちに、静止状態で車輪のみ動かす「動態展示」に向けた整備(4,500万円)を進めるのが現実的だと考えている。

さて、名古屋市は令和元年度当初予算案にB6の設計費など8,000万円を計上。7月19日~8月27日まで、魅力的な展示手法や館外イベント等での活用手法について調査を実施する委託事業者を受け付けている。8月30日にはプロポーザル方式により事業者を選定。B6を動態展示化することで、子どもたちの夢を育むことや、学生・市民の科学教育の振興を図ることを目指す。

■ B6の今後の予定
令和元年度 9月~12月 調査
令和2年度 1月~ 3月 設計
令和2年度 展示場所及び周辺施設の整備工事
令和3年度 展示

世界で唯一現存し再び運転できる可能性があると診断されたB6を、ただ単に科学館で車輪のみを動かす「動態展示」するだけではなく、できる限り製造当時の姿に戻したうえで、客車を調達し、東山公園やジブリの愛・地球博記念公園等で実際に子どもたちが乗って走行できる程度の修復に挑戦するぐらいの夢があっていい。まずはどの程度のコストがかかるのか、調査してはいかがか。
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横井利明
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