5月24日、メイ首相は保守党の党首を6月7日に辞任することを正式に表明した。次期党首、つまり首相選びが始まる。混迷が続くイギリスだが、EU離脱問題の発端は何だったのか。 そもそも、2016年6月の国民投票はなぜ行われたのか。それは政治家の無責任な思い込みや誤算の連続が生んだものであり、まさに「瓢箪から駒」が出てきたと言ってよい。 最大の責任者はキャメロン前首相である。EU残留派のキャメロン首相は、当時は親EUの自由民主党と連立を組んでいたが、保守党内の離脱派を懐柔させるために国民投票で決めると言ってしまったのである。離脱の可能性を見せておかないと、反EUの有権者がイギリス独立党(UKIP)支持に流れるからでもある。 そこで、キャメロンは、2015年の総選挙の公約に国民投票実施を盛り込んだ。総選挙で保守党が単独過半数を得ることはなく、連立政権が続くと予想していたキャメロンは、連立のパートナーの自民党が国民投票を阻止するので実施はありえないと踏んでいたのである。これが第一の誤算である。 ところが、選挙で保守党が単独過半数をとってしまい、キャメロンの思惑ははずれてしまった。しかも、彼は、たとえ国民投票を実施しても、承認されるはずはないと予測したのである。この予測は面白半分に離脱に投票した有権者にも共通している。したがって、離脱となったときに、ど続きをみる『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』